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かつてそこにはこがね屋という店があった

西国分寺にこがね家というラーメン屋があった。
なぜ西国分寺かというとイルティーもセロウもマスホールも国分寺に住んでいたからだ。
これはマスホールとこがね家の店主との美しき友情の話しだ。

いまから遡ること数年

耐え難きを耐え、

忍び難きを忍び、

レコーディングに明け暮れる日々。
そんな我々の空腹を満たすのは決まってこの店である。
店構えは映画タンポポのようなカウンターを構えた恰好。

通称地獄耳店主は寡黙でいつも粋でいなせな白い長靴を履いてたっけな。
ILLTEEは近所の居酒屋で幾度となくこの店長に遭遇している。
そんな酒好き地獄耳店主のちょっといい話し―。



味付けたまご入りのラーメンは全て黄身が二つ、
『ここは国分寺だけど二子玉ラーメン』とメニューに書いてある。
このようにかなりどうでもいいポイントが満載なのがこがね家なのだが、
あるとき壁を見るとどうやら草野球チームのメンバー募集の貼り紙が。

「求ム!走・攻・守・酒、強い方!」

酒が入ってるなんてまぁ当たり障りないシャレも効いてていいじゃないか、と思いながら、
よく見るとその下に何やら※印で注釈が…

求ム!走・攻・守・酒強い方!
※ここの店長、酒で戦力外通告!!
店長チームクビになってるし!

笑いをこらえズズズーズビッと麺をすする俺たち、ラジオのナイター中継が淡々と流れる。
常連客からのプレゼントらしき店長の1/34スケールのフィギュアがカウンターから微笑みかけてくる。

俺たちは足しげく通ったもんさ。
地獄耳店長は「余ってるからさ」と言いながらご飯を出してくる。
あのヘビー級の中毒性に比べれば洞窟やも若干かすんで見えてしまう。
それくらいうまかった。病み付きだった。



終わりはいつの時代も呆気なく訪れる。


マスホールが実家に戻ることになったからだ。
彼と同期の桜である俺は荷造りの手伝いで引越し前日から西国入り。
マスはすでに昼飯でこがね家を食い納めていた。

事実上、もうこの場所に戻ることはない。
俺もラスト西国なのだから夕飯として一人こがね家に向かった。

地獄耳店主は今日もご飯を出してくれる。

一人づつ店に来たのを不思議に思ったのか店主はボソリと呟いた。
「お昼にときたくん食べに来てくれたよ」
気付けば名前も覚えるまでになっていた。

「あいつ明日、松本に帰るんですよねー。引越しの手伝いで俺、今日泊まるんすよね」

「…」

春一番がカタカタと店の引き戸を揺らす。
背を向けて立っているのはいつもの寡黙な地獄耳店主だ。

俺はラーメンに夢中。
すると味付け卵やふきんが置いてある一段高いカウンターでドサッという音がした。
顔を上げると2リットルの紙パックのいいちこが。

「これ、餞別だから。下町のナポレオン。」

これ戦力外通告の要因じゃないかと思いつつ、

「これ大将の大事な酒じゃないすか。いいですよ気持ちだけ伝えときますよ。」
さすがに俺は遠慮ぎみに答えた。

「いいんだいいんだ、持っていって―。但し、今夜中に飲み干すことが約束だよ。」


わりと細身でシュッとしていて若干のタレ目。
漫画でいえば寄生獣のタッチを彷彿とさせる風貌。



俺が支払いを済ませると、地獄耳店主はオープン戦の結果を気にしている―。



かつてそこにはこがね家という店があった。





  1. 2009/02/10(火) 00:49:00|
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